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書いているときは事実と本音を書いているつもりであるが、あとでそれを見返すと恥ずかしくなる。
自分の声が録音されたものを聞くことができない。自分の声は気持ちが悪いからである。
自分のピアノ演奏をあまり聞かれたくない。お粗末であるからである。
自分の表情を見られたくない。ぎこちなくて汚くて、不自然だからである「はず」だからである(「はず」としたのは、自分の仕草や話し方を客観的にみたことがないからだ)。
人間は自己完結できない。それゆえ、このように自分自身にコンプレックスを抱える人間にとって、誰かと関わり合いながら生きていかねばならないこの社会を窮屈に思う。
自分のコンプレックスが何に由来するかを考えると、それはひとつだと思う。それは恐怖である。自己防衛的な恐怖である。物心ついた時分から、俺はすでにこの恐怖を自身の内に宿していたと思う。
この「恐怖政治」から解放されたい。そのためには革命を起こさねばならぬ。